サブゼバール絨毯

サブゼバール絨毯は、イラン北東部、ラザヴィー・ホラーサーン州の都市サブゼバール(Sabzevar)周辺で織られる手織りのペルシャ絨毯で、地域の伝統と文化が息づくトライバルラグです。サブゼバールは、歴史あるシルクロードの交易路に位置し、古くから遊牧民や農村部の織工たちによって絨毯製作が発展してきました。特に、クルド族やバルーチ族、その他の地元部族が織り手として関与し、彼らの生活や自然への敬意がデザインに反映されています。 色調は、深紅、紺、濃い緑、ベージュ、茶などの豊かで落ち着いた色彩が特徴で、草木染めによる天然染料が用いられ、時間と共に色に深みが増します。これらの色は、サブゼバール周辺の山岳地帯や草原の風景を彷彿とさせ、温かみのある雰囲気を醸し出します。デザインは、幾何学模様、ダイヤモンド型のメダリオン、フックや花をモチーフにしたパターン、複雑なボーダー模様が一般的で、部族ごとの独自の文様が織り込まれます。これらの模様は、織り手の物語や信仰、自然とのつながりを象徴し、一枚一枚に個性的な魅力が宿っています。 素材は主にウール100%で、時に縦糸に綿や山羊毛が使われることもあり、しなやかさと耐久性を兼ね備えています。サブゼバール絨毯は、しっかりとした織りと厚みのある質感で知られ、日常使いの実用品としてだけでなく、壁掛けや装飾品としても重宝されます。ペルシャ絨毯の産地としては、タブリーズやカシャンのような「五大産地」に比べると知名度は低いものの、その素朴で力強い美しさは、コレクターやインテリア愛好家の間で高く評価されています。 サブゼバール絨毯をリビングやダイニングに敷くことで、空間にペルシャの伝統と遊牧民の魂が息づく独特の温もりが加わります。モダンなインテリアにも調和しつつ、地域の歴史と文化を感じさせるアートピースとして、特別な存在感を放ちます。
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