カーペットのノット数とは?

ノット数の意味と役割
ノット数は、カーペット1平方メートルあたりに存在する結び目の数を示すものです。この「結び目」は、パイル糸を2本の縦糸に結びつけて作っていきます。一般的にノット数が多いほど、模様の解像度が上がり、細かな文様の再現が可能となります。1平方メートルあたり110万〜169万ノットを超える密度があれば、最高級とされます。
なお、キリムのようにパイルを持たないラグにはノットが存在しないため、ノット数という概念は適用されません。

カーペットを構成する3つの要素
手織りカーペットは、パイル、縦糸、横糸の3つの要素で構成されています。
・パイル(表面の毛足)ー絨毯の表面に現れる起毛部分を構成する糸です。この部分がノット数になります。
・縦糸(ワープ)ー縦糸は絨毯の縦方向に並べられる骨格となる糸でカーペットの長さになります。
・横糸(ウェフト)ー横糸はパイルの列の間に通される、絨毯の横方向に伸びる糸でカーペットの横幅が決まります。

製作日数の目安
一人の織り手が1日に結べるノット数は、平均で約5,000個、熟練者でも8,000個ほどです。たとえば、150cm × 200cmのカーペットで1平方メートルあたり100万ノットの場合、全体のノット数は約300万個になります。これを一人の織り手が製作すると、300万 ÷ 5,000 = 約600日かかる計算になります。

パイル

パイル糸は、絨毯の表面に現れる起毛部分を構成する糸で、実際に目に見えて触れる部分です。この糸の質によって、絨毯の肌触り・光沢・色味・厚みなどが決まります。

トルコ結び
トルコ、コーカサス地方、イラン西部を中心に用いられています。結び目の形状により、結び目をあまり密に詰めるのは困難なため幾何学的なデザインの厚い絨毯に適しているといわれます。

トルコ結び

ペルシャ結び
一般的にはペルシャ結びによるダブル・ノットの方が多いです。ペルシャ結びはトルコ結びよりも密にパイルを結び付けることができるため、曲線的なデザインの絨毯やノット数の多い絨毯に向いているとされています。

ペルシャ結び

ジェフティ結び
ジュフティは双子の意で、本来2本の縦糸に絡めるべきパイルを4本の縦糸に絡める「ごまかし」の技法です。完成までの日数を短縮することができますが、耐久性は損なわれます。

ジェフティ結び

縦糸

縦糸はカーペットの長さ方向に走る、構造の「柱」となる糸です。絨毯全体を支える芯としての役割があり、両端に露出してフリンジになります。2本の縦糸にパイル糸を結びつけてノットを作ります。

シングルノット
シングルノットは隣り合った結び目が二つずつ同じ色に並ぶのが特徴です。パイルを絡めた縦糸の列がすべて露出するため、ノット数は縦糸の列の半分となります。トルクメンのカーペットがこのタイプです。

シングルノット例1

上の画像のノット列は11列になります。

シングルノット例2

シングルウェイトの例です。ノット列は7列になります。

セミダブルノット
パイルを絡めた2本の縦糸が約45度ずれて重なっているのが特徴です。トライバルラグの多くがこのタイプです。このタイプもノット数は縦糸の列の半分となります。

セミダブルノット例1

ノット列は12列になります。

セミダブルノット例2

ノット列は10列になります。ノットの間に黒い横糸が見えています。

ダブルノット
パイルを絡めた2本の縦糸が上下に重なるので一つの結び目は隠れてしまい、絨毯を裏側から見ると結び目は一つに見えます。そのため独立単色の一つの結び目が生まれます。

ダブルノット例1

ノット列は11列になります。

ダブルノット例2

ノット列は13列になります。

横糸

横糸はカーペットの幅方向に走る糸で、パイル糸を締めて固定する役割を担います。ノットの列を一段織り終えるごとに横糸を通し、緯打具(鉄櫛)で上から強く叩いて締めることで、カーペット全体の密度と安定性を高めます。この工程によってパイルが倒れ、絨毯に「順目」と「逆目」という方向性も生まれます。

シングルウェフト
1本の太い糸を横糸として用います。横糸は列ごとに互い違いに通されます。画像では横方向に伸びる赤色の糸が横糸で、その上に点状に白色の縦糸が見えます。シングル・ウェフトはハマダン地方の絨毯に多く見られます。

シングルウェフト

ダブルウェフト
1本の太い糸と1本の細い糸、もしくは2本の同じ太さの糸を交互に通します。前者は太さの違いによるテンションの差から2本の縦糸が重なり合い、ダブルノットもしくはセミダブルノットになります。後者はシングルノットになります。画像では灰色の糸が横糸になります。

ダブルウェフト
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